Golden_Falcon’s Magia

現代魔術の実践の試み

黄金と王水

私とメイガスさんとクマたちは間借りしているツリーハウスに戻った
皆で横になった
メイガスさん相当お疲れだろうな、と思った
私はメイガスさんの顔を見たことが無かった
いつもローブで隠れていて口元しか見えないのだ
ローブのフードの端には8個のターコイズがあしらわれていて、それはきっと蜘蛛だからなんだろう
メイガスさんはクッションにもたれかかって軽い寝息を立て始めた
ああ、やっぱりお疲れなんだ、どう見てもお若くないし、でも彼女は何であんなに強いんだろう
私はメイガスさんの隣にクッションを置いて横になり、クマたちと彼女と自分に大きな毛布をかけた
祭壇であったゴタゴタした顛末を思い返した
キムくんやメイガスさんが居なかったら自分は消滅してしまってたんだろうな・・・
私にも疲労感があって昼寝をしようと思った
メイガスさんと肩を並べて、何となく彼女の手を握った
やっぱり灰色の世界に消えるのは怖いことだと思ったから
メイガスさんは眠っていたが、くすっと笑ったような気がした
軽くまどろんだ

また拝火教徒の大鍋だ
彼らは大きな黄金の鍋に王水を満たしてそれを火にかけていた
王水はぐつぐつ煮えたぎっていた
ふと私は気がついた、黄金をも溶かす王水を黄金の鍋に入れて煮るのは滑稽なことじゃないか?
そして見ていると案の定黄金は王水に溶け、大鍋は菲薄化し、自重に耐えかねて底に亀裂を生じ始めた
王水が火に滴り刺激臭を発した
拝火教徒達も異変に気がつき始め、ざわついた
大鍋の祭壇から走って逃げ出す者が出始めた
ところが見るも見る間に亀裂は大きく離開し始め、遂に鍋は真っ二つに割れてしまった
王水は祭壇の火を消すほどの量で辺りに漏れ広がり、異教徒達は蜘蛛の子を散らす様に逃げてしまった
ものすごい刺激臭で私は喘息を起こすほどに咳き込んだ

そこで目が覚めた
咳、酷そうだけれど大丈夫?
ああ、メイガスさん、起こしちゃってごめんなさい
拝火教徒の大鍋が割れてしまう夢を見たんです
王水が火に触れて刺激臭で咳き込んだんです
あの異教徒達は黄金を溶かす王水を黄金の大鍋に入れていたんだから、本当に馬鹿みたいでしょう?
そうね、それはちょっとミスね、でもその大鍋にうなされることもなくなったんじゃないかしら?
そう、かな、そうだといいです