Golden_Falcon’s Magia

現代魔術の実践の試み

オブリビオンの淵と師匠の必死

溺れることを諦めて沼に沈むとき私はむしろ恍惚としていた


そして暗闇にハチドリのビジョンを見た


もう手も顔も沈むというとき、小舟がやって来て、その櫂を使い、
櫂の持ち手を差し出してこれを掴めと言う者があった
師匠だった
櫂を掴むが、泥で滑る
引っ張られると腕と首まで水面に出た
はい上がれるかと尋ねられたが到底無理だった
師匠は私の物神のネックレスを再び使おうとしたが泥で滑るし無理だった
それを何処か踏まない場所に置いてから、少し思案した
舟の中に舫い用の縄があった
舟の端に両手で掴まっていると師匠は舫い縄を私の胴体に巻きつけて結んだ
底なし沼はもがくと沈む
師匠は縄を掴んで、櫂をこぎ、泥から引き抜こうとした
黄金と金赤の単眼は一部始終を見ているが、何もしてこない
私には自力で舟に這い上がろうとする気力はなかったし
師匠は必死ながらも悲しげだった