Golden_Falcon’s Magia

現代魔術の実践の試み

解題

Soror Mは暫くこの問題から手を引く。

そこでこのブログの経緯について解題しておく。

 

始まりについて

彼女は子供の頃の目に見えない友達、何度か見た不思議な夢や白昼夢を大切にしていた。意味は分からないながらも、何か重要な意味があるに違いないと考えて、いつかその意味を知りたいと願っていた。

そして本年初めに、彼女が仕事で行き当たった葛藤に悩むと、また不思議な夢を見た。22年の時を隔てて夢に見た同じモチーフについて、彼女はついに解釈と分析を試みることになる。

 

夢と物語

彼女は不思議な夢をたくさん見たが、どれも抽象的で解釈の付かないものだった。図形や錬金術的なモチーフが出てきた。やがてその夢の断片から魔術を試みることをふと思いつき、アストラル投射を行うと共時的イベントが起きた。彼女は驚き、また、半信半疑だった無意識の存在を確信した。

彼女の白昼夢の中で物語はどんどん進むことになる。彼女の物語には課題や試練や苦しい情動を伴うものが出てきた。魔術師参入以降、夢の内容を公開するのは止めてしまったが、話はどんどん進んで行った。

そして、試されるだけではなく、彼女の無意識の中にある扱いがたいエネルギー、破壊的衝動などに直面することになった。そして物語の中で無意識のエネルギーに飲まれかける危機に陥る羽目になる。このときにも共時的イベントが起きた。彼女が夢の中で能動的に何かを起こすと共時的イベントがよく起こる。

だが、白昼夢の物語とは、単に空想ファンタジーではなく、彼女自身の物語だった。

 

メサイアコンプレックス

扱いがたい程の破壊的衝動は無意識に抑圧された怒りであり、それは、彼女の根底にある自尊心の低さを、他者を助けることからくる自己有用感で補償するような、救済者的な夢物語で語られることになる。それはまた彼女の職業的にも正当化されうる内容だったからだ。だが、彼女は誇大妄想的になることに警戒し、夢物語に反発した。

抑圧された怒りと自尊心の低さは、後にその理由に直面することになった。

 

救済する者の到来

ある時彼女は何度目かの生贄になるモチーフの夢を見た。彼女は夢の中で命を取られたが、夢物語の伴侶(魔術師の守護精霊)とともに復活を余儀なくされてしまう。アストラル旅行で情動を揺さぶられ続けていた彼女は疲弊し、白昼夢を止めたいと願っていた。そこへある精神科医が夢と白昼夢に出てきた。突然のことに彼女は驚いてしまう。

 

現実の混乱と内的世界の混乱

奇しくも彼女は現実世界において土地を買い家を建てて引っ越しするという怒濤のイベントをこなしながら、情動を振り回される夢物語の世界をも進めていた。

夢物語が煮詰まって精神科医が現れた後、彼女は不思議な眠りを経験した。それは死にゆく者の眠り、死者の眠り、モルヒネ的な眠りと表現され、短時間が永遠の時間性を持ち、多幸感と宗教性を持つものだった。その異常とも言える幸福な眠りの中に、彼女は金の壺を発見する。それは彼女の生育歴における秘密が封印されているもので、何故そのようなものがそこに出てきたのか疑問に感じた。だが、彼女はその秘密の記憶が特殊なものであり、死の間際まで封印されているはずの記憶であることに思い至った。

そして夢を分析解釈する過程として、沈黙の金の壺を開ける決意をした。

 

厳重に封印されていた記憶と傷

壺の中身は惨憺たるものだった。傷と解離された記憶とイメージが封入されていた。彼女は混乱し、トラウマワークを余儀なくされたが、現実世界の混乱と相まって幾つかのイメージを夢の中で解離させてしまった。そしてそこからこぼれ落ちる記憶の侵入に苦しむことになる。記憶の侵入は思考の退行を誘発し、彼女は仕事にもこの混乱を持ち込むのではないかと恐れた。

スティグマ感を思い出し、自尊心と自信が砂上の楼閣のように崩れるのを見た。彼女の箱庭からは自己を表すものが消えた。これは、傷からの生還者によく見られる魂の消滅願望であり、生きている者に許された企死念慮とは一線を画したものである。

彼女は傷の問題から怒りを想起することが無い。それは無意識の夢の世界に得体の知れない雲となって漂ってしまっているからであり、その反動形成でメサイアコンプレックス的な物語が出てきている。そして、無意識の世界で怒りが暴れだすところを女神の壺によって助けられている。

 

大きな傷と小さな傷

彼女はある事実に思い至る。

大きな傷によってその後の人生が亡霊化したこと、半分死んでいるからこそ、夢の世界が存在の現実を補償してくれる、深い夢の世界だけは真実の自分しか見れないことを知っていた。

そして、小さな傷によってその後の人生が粉飾決算になってしまっていたことに気がついた。彼女の経歴と職業はまさに粉飾と称するに相応しいものである。怒りを無意識に封殺し、受容的に適応していたことで、その粉飾と怒りの反動形成は上手くマッチしてしまった。その事実がさらに自信と自尊心を失墜させることに気がついた。

 

理不尽さと無力感

ある種の生贄体質であり、それは彼女の大きな夢の重要なモチーフでもある。そして、彼女が夢の解釈に取り組んでからも運の悪さが重なってしまった。彼女は抗えない流れに遂に自力ではどうにもならない無力感を感じてしまった。

夢に現れて以後、彼女のトラウマワークの相手をしていた精神科医のイメージは再三彼女にアドバイスしたが、彼女はその愛着の問題からその忠告通りに行動出来ない。

 

傷持ちと異邦人

ある精神科医をして言い得て妙なる異邦人、普通の人の心理カプセルの外に生きている人々。半分死んでいて無意識の世界に存在の中心を移さざるをえない得ない人々。彼等は普通の人の心的現象と宇宙の狭間に生きていると表現する。

これはまさに彼女の夢物語のオリエンテーションに一致する。彼女の夢は図形や数式の世界、抽象的イメージの世界が殆どで、日常的な夢を殆ど見ない。日常的なイメージというのは白昼夢か幻覚的なものであることが多い。

 

今後のこと

彼女がどう取り組むつもりなのか、それは全く分からない。現状では心折れたような印象であるが、現実の生活を送る最低限の努力はするだろう。

 

Frater Y∴